東京の工業用水が廃止されていたっていう話
最近知ったのですが、2023年3月に東京都の工業用水は廃止されていたのですね。そこで、工業用水について解説します。
目次
工業用水はなぜ誕生したのか?
そもそも工業用水は地盤沈下対策として導入された制度でした。昭和30年代に工場が地下水をくみ上げることで地盤沈下が起きてしまい、それを防ぐために普通の上水道とは別に安い水を提供することで地下水のくみ上げをやめてもらう目的でした。
上水道よりも安くするために、工業用水は水温・濁度・pHの3項目程度しか基準がなく(その地方自治体の条例などによって異なる)、基本的に沈殿処理を1回したものが多いです。もちろん、細かい砂やごみを除去した程度の水なので飲用には適しません。
東京都の工業用水はなぜ廃止になったのか?
東京都の工業用水事業は1964年から始まり、既に開始から50年以上経過したため配水管の老朽化が進みました。配水管の更新費用を全額、工業用水の費用に反映させると上水道を上回る料金設定にせざるを得ないことから、工業用水事業を続けても意味がないという判断になり、廃止が東京都議会で決定されました。
工業用水を使えなくなったら、地下水を使っていいのか?
地下水は揚水規制があり、その法律・政令の範囲内であれば使用してよいそうです。
東京都以外にも工業用水廃止が広がる可能性は?
工業用水事業は経済産業省の資料によると黒字の事業体が8割なので、黒字の事業体のところはすぐに廃止になる可能性は低いかなと思います。そもそも工場がなくても税収的に困らない東京都だからできる施策であって、普通の地方自治体ですとやはり工場がないと困ることが多いと思いますので、簡単には工業用水廃止にはできないと思います。もちろん、維持するために工業用水の値上げは起こりうると思いますが。