日本の時価総額の計算方法がおかしいかもとかいう記事について

記事の個人的感想

東洋経済オンラインが"〈自己株買いの産物〉キヤノン「本当の時価総額」は5兆円台でなく3兆円台? 日本の常識は世界の非常識か"という謎の記事を配信したので、その感想を記しておきたいと思います。

この記事は有料記事なので詳細は記事を読んでいただくしかないですが、「日本の日経新聞やYahoo!ファイナンスや四季報は自社株も含めて時価総額算出していておかしくないか?」というような主張をしたいようです。

それで、私が疑問に思ったのはそもそも株をかなりの規模で取引している人たちはそんなことは知っていて浮動株調整後時価総額とかも鑑みて取引してます。例えばTOPIXも2001年頃にはベンチマークとして弊害があるので浮動株比率で調整すべきだというような意見が出始め2005年に浮動株比率による調整を導入しています。20年も前の話です。しかし、浮動株比率というのは計算方法が人によって違うということとそのデータ自体を販売するというビジネスモデルを日経や東証がとっているので、一般人が無償で手に入れるのはなかなか難しいです。(四季報がやっている雑な計算方法の浮動株比率であれば証券会社の無償ツールとかでも入手可能ですが)

従って、株価 x 株式数で簡単に算出できる時価総額は単に誰でも有価証券報告書から簡単に計算できるので日経新聞や東証が無償で提供しているだけであって、別にその時価総額を元にプロが取引しているわけではないので特に問題ないと個人的には感じました。

そもそも四季報もその方法で時価総額を算出していると記事でも言及していますが、四季報は東洋経済新聞社が作っているので、同じ東洋経済新聞社同士で話して時価総額の計算方法変えればいい話じゃないのかと感じてしましました。

キヤノンと富士フイルムのTOPIXウェイトの比較

記事ではキヤノン(7751)と富士フイルムHD(4901)が自社株を含めた時価総額だと差があるように見えるけど、自社株を除くとかなりの僅差だよという例をあげています。東証が無償で提供している2025年5月の時価総額ランキング表から抜粋するとキヤノン30位、富士フイルムHD 49位で時価総額にして約4割の差があり確かに差が大きいように見えます。しかしTOPIXのウェイトでは野村證券のTOPIX連動ETFのウェイト情報を見ていただければわかるようにキヤノン36位、富士フイルムHD 42位でウェイト差も約1割となっております。つまり、プロはちゃんと浮動株比率も考慮してウェイトを決めているので特に問題ないということがわかります。この浮動株調整は20年も前から日本(TOPIX)で導入されています。もちろん、東証のビジネスモデルの関係で一般の人は入手しづらい情報かもしれませんが、一般の人はそこまで大規模な金額動かさないので、キヤノンと富士フイルムHDの時価総額の差なんてそこまで気にする必要ないのではないでしょうか。気になるなら浮動株調整が入るETFを買えばいいだけですしね。

浮動株調整についての説明

参考資料

東洋経済オンラインの記事

ニッセイ基礎研究所の記事

月刊資本市場

東京証券取引所 時価総額ランキング

TOPIX連動型ETFの公式サイト

※当記事は投資商品を勧誘する目的ではありません。