【化学物質】 小分け容器のラベル表示義務化

2024年4月化学物質の小分け容器ラベル表示義務化

労働安全衛生法に関連する告示の改正により2024年4月より一部化学物質の小分け容器のラベル表示が日本において義務化されます。そこで解説します。

化学物質のラベル表示について

そもそも2024年4月より前まではラベル表示についてどういうルール(法律)だったかというと、

「表示通知対象物質が閾値以上含有している化学物質を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者はラベル表示しないといけない」

でした。これだとピンと来ない人もいるかもしれませんが、例えばエタノールの試薬を購入すると以下のようなラベルが試薬瓶に貼ってあると思います。このように「化学物質を他社さんに販売したり提供したりする場合は決められた事項をラベル表示しないといけませんよ」というルールでした。

富士フィルム和光純薬のホームページより(一部項目は隠してあります)

じゃあ、試薬会社から「購入した試薬を自分の会社内で使うためにガラス瓶に移した場合に、同じようなラベルを複製して貼らなければいけないのか?」というとこれまでは特に決まりはなく、貼っても貼らなくても安衛法とそれに関連する省令・告示には違反しないものでした。

2024年4月からのラベル表示義務化とは

2024年4月から何が変更されたかというと前述の自分の会社内で使うために小分け容器に移し替えた場合や自分の会社内で使うために表示対象の物質が含有した化学物質を容器に入れた場合にラベル表示をしなくてはならなくなりました。とはいっても試薬会社が貼っているようなラベル表示を求められているわけではなく、以下の2点を表記したラベルで大丈夫です。

  • 名称
  • 人体に及ぼす作用

小分け容器のラベル表示例

例えば、試薬会社のエタノールを自社内で使用するために小分け容器に移し替えた場合は以下のようなラベルを小分け容器に貼れば、2024年4月からの新ルールに対応したことになります。(人体に及ぼす作用はメーカーによってSDSの記載内容が異なる可能性があるので、使用するメーカーのSDSに書かれていることをそのまま転記すると良いと思います。)

化学物質の小分け容器ラベル表示義務化のまとめ

義務化の元となる告示

「化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針」 第4条

第四条 事業者(化学物質等を製造し、又は輸入する事業者及び当該物の譲渡又は提供を受ける相手方の事業者をいう。以下同じ。)は、容器に入れ、又は包装した化学物質等を労働者に取り扱わせるときは、当該容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装した化学物質等を労働者に取り扱わせる場合にあっては、当該容器。第三項において「容器等」という。)に、表示事項等を表示するものとする。

2 第二条第二項の規定は、前項の表示について準用する。

3 事業者は、前項において準用する第二条第二項の規定による表示をすることにより労働者の化学物質等の取扱いに支障が生じるおそれがある場合又は同項ただし書の規定による表示が困難な場合には、次に掲げる措置を講ずることにより表示することができる。

一 当該容器等に名称及び人体に及ぼす作用を表示し、必要に応じ、労働安全衛生規則第二十四条の十四第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める標章(平成二十四年厚生労働省告示第百五十一号)において定める絵表示を併記すること。

二 表示事項等を、当該容器等を取り扱う労働者が容易に知ることができるよう常時作業場の見やすい場所に掲示し、若しくは表示事項等を記載した一覧表を当該作業場に備え置くこと、又は表示事項等を、磁気ディスク、光ディスクその他の記録媒体に記録し、かつ、当該容器等を取り扱う作業場に当該容器等を取り扱う労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針 2024年4月時点

対象の物質

ラベル表示対象物質を含有している化学物質

厚生労働省のホームページからラベル表示対象物質と閾値は検索できます

義務化開始日

2024年4月1日

表示しなければならない情報

  • 名称
  • 人体に及ぼす作用

その他

絵表示は必要なのか?

結論から申し上げますと絵表示は義務化されていません。

ただし、告示には「必要に応じて」と書かれていることと「必要に応じて」がどのようなケースが想定されているのか厚生労働省から特に発表されていないことから、今後、厚生労働省の裁量の範囲で必要なケースが設定される可能性はあると思います。

人体に及ぼす作用を絵表示だけにしても良いか?

絵表示だけではダメと厚生労働省から発表されています。

容器が小さすぎてラベルが貼れない場合は?

試薬番号などを書いて、試薬番号と名称・人体に及ぼす作用が書かれた一覧表を掲示するなどの方法で代替することも可能と厚生労働省から発表されています。

参考資料

第146回安全衛生分科会資料

化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)

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