リモートデスクトップの色の深度

テレワークの際によく利用するWindowsに標準搭載されている「リモートデスクトップ接続」(通称RDP)ですが、接続の際のオプションで色の深度をデフォルトの32bitから16bitに落とすと転送量が減って接続が安定すると主張されている方がいますね。私もその話を信じて接続が安定しないときに16bitに落として接続してみたのですが、実感としては全く変わらなず接続が安定しないときは16bitだろうが32bitだろうがあまり変わらないという印象をうけました。

そこで「リモートデスクトップ接続」時に色深度を16bitと32bitとした場合でどの程度必要な帯域が変化するのか調べたデータがないのかを調べたので、ここで内容をまとめたいと思います。

そもそも16bitの方がデータ量が少ないだろうという根拠は何?

色深度というと馴染みがない方も多いと思いますが、要するに色を16bit(= 2の16乗 = 約7万色)で表現するか32bit(= 色情報は24bit = 2の24乗 = 約1678万色)で表現するかという違いがあります。32bitの方が16bitよりも色数が200倍多いので16bitにすればデータ量が激減すると考えている人が多いようで、16bitに減らすと接続が安定するというようなことを主張される方が多いです。

色数には落とし穴がある。

実際には色数が多いからデータ量がその分多くなるという考え方は当てはまらないことが多いです。というのも色数はあくまで最大値であり、実際のPC操作画面で最大色数に到達することなどほとんどないからです。

マイクロソフトの検証結果

実はマイクロソフトがWindows Server2008とWindows Vistaをリリースしリモートデスクトップの色深度に32bitを導入したときに検証結果を公表しています。そこでその検証結果を紹介したいと思います。

1,カラフルなスライドによるプレゼンテーションをした場合

1つめのケースは写真やアニメーションがあるプレゼンテーションをしたケースです。具体的にはパワーポイントを使用し画像があり、グラデーションカラーを使用したスライドを含みスライド間の画面遷移の効果を使用した場合です。

結果を下のグラフに示しました。(データはマイクロソフトの公表資料より引用)

グラフからわかるように検証結果では32bitから16bitに色深度を落とすと使用帯域が増えています。これは32bitでは色情報以外に透明度の情報も載せられるようになり、グラデーションなどは透明度情報で表現できるようになったことで逆に圧縮で情報量が減らせるようになったことが原因と推察されます。また、15bitまで落とすとさすがに、使用帯域は減っていますが、10%程度しか減っていません。これだと接続が不安定な時に色深度を落とすことで劇的に改善することは期待できません。

2,文字が多いプレゼンテーションファイルを作成した場合

2つ目のケースは文字が多めでグラデーションを使用していないプレゼンテーションファイルを作成するケースです。グラデーションは使用していませんが写真はいくつかスライドに使用しています。

結果を下のグラフに示しました。(データはマイクロソフトの公表資料より引用)

今回のケースでは色深度を落とすことで使用帯域が減らせていますが、15bitにしても20%程度しか減らせていないことがわかります。これで劇的に接続が改善するとは考えにくいですね。

結論

リモートデスクトップの色深度を落とした方が接続が安定するかどうかはケースバイケースでわざわざ設定を変える必要はない。

参考資料

マイクロソフト 「ホスト型デスクトップ仮想化チーム」作成資料-2008年10月版-