複雑性PTSD
最近、注目されているワード「複雑性PTSD」について解説します。
最近、国際的に認められた新しい病気
国連のWHOが数十年に一回程度の頻度で発行しているICDという病気の分類基準があります。このICDで「複雑性PTSD」は2018年に初めて登場した新しい病気です。
PTSDと複雑性PTSDは同じカテゴリー
ストレスが原因の障害という点ではPTSDと複雑性PTSDは同じカテゴリーです。
PTSDは以下の3要素が含まれているのが特徴です。
- トラウマとなった出来事の再体験(いわゆるフラッシュバックなど)
- トラウマを思い出すことの回避(考えたり、思い出すのを避けるなど)
- 過覚醒状態(ちょっとした物音などに過敏な状態)
複雑性PTSDでは上記の3要素に加えて以下の3要素が含まれています。
- 感情調整が困難(気持ちを落ち着かせることができない)
- 自己否定感情
- 人間関係の回避(人間関係を避けるようになる)
※本解説はICDの分類に基づいており、病気の定義については異なる学説が存在する場合があります。
境界性パーソナリティ障害との違い
複雑性PTSDは感情調整が困難という点で境界性パーソナリティ障害と共通していますが、 複雑性PTSDは常に自己否定感情を持っているのに対して 境界性パーソナリティ障害は自己肯定と自己否定を行ったり来たりすると言われています。また、境界性パーソナリティ障害は自傷行為を行うことが多いのに対して、 複雑性PTSDでは自傷行為の発生率が大幅に低いと言われていわれています。