【Excel】新関数のTrimrange関数と新参照方式について

2024年11月20日

2024年11月 Excelの新規関数Trimrange関数について解説

Excelに新関数のTrimrange関数とそれに伴う新規参照方式が実装される予定と発表されましたね。そこで解説します。

Trimrange関数とは

Trimrange関数とは空白セルを計算対象から除く関数です。範囲指定の際に面倒なのでA列とかB列とか列指定で指定することがあると思いますが、そうしますと入力していない空白セルも計算することになり、マシンパワーを余分な計算に充てることになり、無駄にExcelファイルが重くなる原因になる場合があります。そうしたときにこのTrimrange関数が役立ちます。Trimrange関数を使って範囲指定することでその範囲の先頭側または末尾側の空白セルは無視されます。

実例で見ていきましょう商品の価格がアメリカドルでA2からA10セルに入力されているとして日本円換算値をB列に表示させています。これから11行以降にも追記する可能性があるので、とりあえず999行までまとめて日本円換算値を求める数式をB2セルに入れています。こうするとB11からB999セルまでは計算する必要がないのに無駄に計算してしまい、0と表示されることとなります。これはこの程度の簡単な計算であればそこまで問題にはなりませんが、もっと複雑な計算式を組んだ時に必要のない計算でExcelブックが重くなる原因となります。

Trimrange関数を使いたくなる場面の例

そこでTrimrange関数が登場します。この関数で範囲指定すれば範囲指定内の先頭側と末尾側の空白セルは無視することができます。実例で見ると下の画像のようになります。B2セルの数式で範囲指定の際にTrimrange関数を使ったことでA11からA999セルは末尾側の空白セルなので無視され計算はされなくなります。もちろん、この後にA11にデータを追加した場合には自動でB11セルに計算値が表示されるので数式を変更する必要もなくなります。

Trimrange関数と同等の機能を持つ新参照形式

Trimrange関数は数式でTrimrangeと書かれるので、取引先とかが納品したExcelブックに使っていてもGoogle検索すればどんな関数か調べられるのでそこまで困ることは少ないと思いますが、今回Trimrange関数に伴って同等機能の新参照形式が実装予定となっております。こちらは見慣れない形式ですし、検索しても記号なので引っ掛かりにくいということもあり、なんだかよくわからない参照形式と感じて困る人が出てくると予想されます。そこでこの新参照形式についても解説します。

知っていればそんなに難しい話ではないのですが、範囲参照する場合はコロンを使いますよね。そのコロンの前後にドットを入れるだけで先頭側または末尾側の空白セルを無視する範囲参照となります。実例で見ると下の画像のようになります。

この例では":"の代わりに".:."を使うことで前後の空白セルを無視する参照形式となります。この参照形式使った方が文字数が減るのでTrimrange関数を使うよりは数式がスッキリした印象となります。そのため、数式とかプログラミングが得意な人はこちらの方を好む人も多いと思います。

先頭側と末尾側どちらかの空白セルを無視するか指定することも可能

“.:."の意味を解説しましたが、実は".:"や":."といった参照形式もあります。これは

“.:." → 先頭側・末尾側の両方の空白セルを無視する
“.:" → 先頭側の空白セルを無視する
“:." → 末尾側の空白セルを無視する

という使い分けができます。まぁ、通常は末尾側だけか両方を選ぶことが多いと思いますが、取引先が納品したExcelブックに普段使わない参照形式があると意味を調べるだけで時間かかってしまうので頭の片隅に入れておくといいと思います。

実装時期

Trimrange関数と新参照形式はまだExcelのベータチャネルにしか実装されていません。カレントチャネルや月次エンタープライズチャネル・半期エンタープライズチャネルではまだ実装されていませんし、実装予定も発表されていません。

ただ、これまでの実装スケジュールからすると2025年にカレントチャネルや月次エンタープライズチャネル、2026年に半期エンタープライズチャネルに実装くらいのスケジュール感ではないかと予想されます。

参考資料

Excel Blog

Microsoftexcel,trimrange

Posted by Nao