スリーエム ベルギー工場で操業停止

2022年6月12日

スリーエムがベルギー工場(ズワインドレヒト)で当局からの命令により操業停止となり、一部製品で顧客にフォースマジュール宣言をしたそうです。これについて解説します。

これまでの経緯

これまでの経緯を以下にまとめました。なおベルギーは連邦制であり、環境の問題については地方政府が担当しています。従って、ベルギー連邦政府というよりもフランドル政府(日本ではフランダース地方政府などという場合もある)の環境省と3Mとのやり取りという形になります。

2021.08 ブリュッセル・タイムズなどいくつかのニュース媒体でズワインドレヒトの工場周辺の住人10人の血液サンプルの分析からPFOSの血中濃度が高いことが報道される。

2021.09 フランドル政府の環境大臣がPFOS汚染について10/1までに改善策を考えるように3Mに通知

2021.09 3Mが排出量削減のための行動を取る意思があることを表明

2021.10 ズワインドレヒト工場の周辺住民800人の血液検査の結果、半数以上の人がPFOS濃度が高いことが判明

2021.10 フランドル政府の環境検査官がズワインドレヒトの工場においてPFAS関連製品の操業停止を命令(2020年にフランドル政府が出した環境許可の基準を変更し、危険物の排出基準を最も厳しいもので1μg/lに設定)

2021.11 環境検査官による命令を執行停止する3Mの申し立てをベルギー国家協議会が却下

2022.02 Karl Vrancken教授の報告書の中でフランドル地方の個人所有の産卵鶏の卵がPFOS暴露の危険性を高めるとし、フランドル地方で個人所有の産卵鶏の卵を食べないように勧める

2022.03 ズワインドレヒト工場のPFAS排出基準をさらに厳しくする命令に対する3Mの異議申し立てを却下。排出基準:0.1μg/lの適応が決定。

2022.03 フランドル調査委員会が3MがPFOS汚染の責任があることを認定

2022.03 3Mが工場周辺地域のPFAS浄化のために1億5千万ユーロを追加で確保したと発表(2021年9月に発表した1億2千5百万ユーロにさらに追加で確保)

2022.06 3MがPFASの排出量を大幅に削減する新技術への投資をする計画により工場の再稼働が承認されたと発表(※フランドル政府担当者は一部分の製造プロセスのみ承認したと発表。)

簡単にいうと2021.10の操業停止命令以来、ズワインドレヒト工場ではPFAS関連製品が生産できない状況になっており、2022年4月の段階では環境省と交渉中でした。現在も交渉は続いていますが、一部製造プロセスについては再稼働の承認が得られたそうです。

フォースマジュール宣言とは

フォースマジュール宣言とは不可抗力による契約不履行を顧客に通知することを意味する言葉です。顧客への通知の方法は契約書に定められている場合が多いです。

参考資料

ベルギーのニュースサイト

ブリュッセル・タイムズの記事

ブリュッセル・タイムズ2021.10.26付記事

ブリュッセル・タイムズ2021.11.01付記事

ブリュッセル・タイムズ2022.2.7付記事

ブリュッセル・タイムズ2022.3.8付記事

ブリュッセル・タイムズ2022.3.28付記事

ブリュッセル・タイムズ2022.3.31付記事

Kanner&Whitely LLC

yahoo finance 2022.3.30付記事

スリーエムジャパン 不可抗力のお知らせ

Bloogberg2022年6月スリーエムベルギー工場の特集記事

Strar Tribune 2022.06.10付記事

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