EUにおける充電端子の統一ルールについて
たまには日本企業で働いている方々のために真面目なお話を。
2021年9月にEUの委員会が電子機器用の共通充電機器のルールを導入することを提案したことについてです。
特によく日本語配信のニュースで誤解されているのが統一の開始時期で欧州議会で提案が採択されてから2年間の移行期間が設定されているため、早くても2024年からです。そのスケジュールから逆算するとiPhoneでしたら2023年9月発売モデルからusb-cに変更になる可能性が高いです。
iPhoneだけが影響をうけるわけではない
ニュースではスマートフォンのiPhoneが独自の端子を使っていて「iPhoneを標的にしたルール」のような報道が一部ではされていますが、 iPhone 以外の機器でも影響があります。
対象となる電子機器は以下のものです。
- スマートフォン(携帯電話)
- タブレット端末
- ヘッドフォン
- デジタルカメラ
- ポータブルスピーカー
- 持ち運びできるゲーム端末
具体的なルール
具体的なルールとしては以下のルールが提案されています。
・対象となる電子機器の充電端子はUSB-Cにする
・急速充電技術に対応する(具体的に何W以上なのかは機器によって異なるため、言及されていません)
・充電器と本体は別売にする(他社の充電器を既に持っている場合に新たな充電器を購入する必要がなくなる)
・充電の仕様を消費者に提供する(例えば25W以上のUSB-PD規格の充電器に対応しているなど)
目的
目的としては家族で違うスマートフォン使っていても同じ充電器をシェアできるから、充電器の購入量が減って結果的に充電器やケーブルの廃棄量が減るというような目的です。
EUの試算では年間1000トンの廃棄物が削減できるとしています。
ワイヤレス充電技術
今回の提案ではワイヤレス充電技術については制限しない予定です。こちらはまだ発展途上ということで、技術革新の妨げにならないように仕様を制限していないそうです。
Switchを例に考える
USB-Cを採用していれば問題ないわけではないという今回の提案について、持ち運びできるゲーム端末である任天堂のSwitchを例に考えてみます。
Switchは USB-C 端子で充電を行うので、一見何も問題ないかのように思われるかもしれません。しかし、今回の規制が適応された場合、まず充電器を別売にしなければいけません。
次に、充電の仕様を明確にして他社製の充電器を選べるようにしなければなりません。そのため、現在Switchのサポートページには充電する場合の任天堂社製の充電器の型番のみが記されていて、他社製の充電器が使えるのかわかりませんが、今回の規制が適応されると例えば「25W以上の充電器で USB-PD規格の充電器 」といった案内の仕方をしないと違反とみなされる可能性があります。
今後のスケジュール
2022年 欧州議会で採択
2024年 上市する製品に新ルールが適応される(採択から2年後)
※EU加盟国が修正意見を出したり、EU以外の他国が非関税障壁として問題視してスケジュールが遅れたり、ルールが変更になったりする可能性があります。
※当サイトの情報は未来を保証するものではありません。法解釈はEUの公式サイトで原文を確認の上、法務部門と相談することをお勧めします。